アイツは私の初彼氏
初のデート!?
・待ち合わせ
日曜日、私は慣れない靴でよたつきながら駅までの道を急いでいた。
靴はかかと6センチのパンプス。
上はヒラヒラしたフリルの多い服。
長い髪はウィッグ。
つけまつげに、口紅とグロス。
下をジーパンにしてくれたのは、せめてもの優しさなのか。
「駅までこれで行けとか鬼だろ!」
気のせいか道行く人にも見られてるみたいだし……。
私は恥ずかしさのあまりブツブツ言いながら、小走りになってゆく。
「『女装』させられるとか、小学校以来だ!」
何故こうなったかというと、それは少し前―――
「起きなさーい!さおっ」
「んなっ?」
起床予定の30分前に起こされた私が寝ぼけまなこで起きあがると、目に入ったのは上の姉―――しお姉の姿だった。