アイツは私の初彼氏
「うん、だからしお姉達の遊びに付き合ってる時間は……」
「ちょっとじっとしなさい!」
「いてっ」
動かそうとした顔を無理やり固定され、思わずうめく。
もー勘弁してくれよな……。
その時、私の携帯がメールの着信を知らせる。
けれど、携帯は私が手に取る前にかお姉に開かれていた。
「ちょっ、かお姉!」
「しお姉、かっちゃんから待ち合わせ駅前変更OKのメール来たよ~」
「分かった。じゃあ後30分で仕上げる!」
かお姉は私の知らない間に、私の携帯から克幸にメールを送っていたらしい。
勝手に待ち合わせ場所変えるとか、一体どうする気だよ!
そうこうする間にメイクが済むと、次は髪をいじられ始める。
しお姉の手にはロングのウィッグとヘアアイロン。
「よし!ゆるふわで行こう!」
その間にかお姉が私の爪にマニキュアを塗って……。
もう、どうにでもしてくれ……。
私はついていけない事態に諦めをつけた。