アイツは私の初彼氏

―――そんなこんなで、家を出れたのは１０時４５分。

ホントなら１１時に家に克幸が迎えに来るはずだったのに、姉達は何を思ってか駅前で待ち合わせに変更とかされて。

徒歩で１５分の距離だけど、こんなパンプス履いてたらなかなか前には進まない。

オマケに出る前も鏡すら見せてもらえなかったから、今の自分がどういう状態なのかも確認出来ず。


駅前に着く頃には、少し息が上がっていた。



「はぁ、克幸どこだろ」

私達は家が隣同士なせいか、家の前以外で待ち合わせする事なんて初めてで。

とりあえず待ち合わせの定番な時計台に目をやると、見慣れた姿が見えた。

克幸だ。

携帯の画面を見ているヤツに近付く。

「よぉ、待たしたな」

声をかけると、克幸はキョロキョロと周りを見回した後、首をひねってまた携帯に目を落とした。

ちょっ、無視かよ！