アイツは私の初彼氏
・高木奏真との遭遇
「なぁ、やっぱ着替えに帰ってもいいか?」
「ダメ」
少し前から、私と克幸はこのやりとりを繰り返している。
朝から何も口にしていない私は克幸に頼んで近所のカフェに入ったのものの、注文したものを待っている時間に耐えられないでいた。
それというのも、さっきからやたら人の視線を感じるからだ。
自意識過剰なのかとも思ったけど、視線を追うとたいてい誰かと目が合うから見られてるのは間違いなさそうで。
しかもその大半が男だなんて!
今まで女の子からしか見られた事のない私は、まったく落ち着かない。
何で見られてんだろ。
やっぱり女装、何か変なんだろうな……。
「お待たせしました。サンドイッチセットとピラフセットです」
私の目の前にピラフとアイスティー、克幸の前にサンドイッチとコーヒーが置かれる。