アイツは私の初彼氏


目の前のピラフからいい匂いが漂ってくる。

とりあえず腹ごしらえするか!

バクバク食べていると、克幸にジッと見られているのに気がついた。

「何だよ」

「いや、そうやって食ってる時はいつものさおだなと思って」

「分かってるよ、こんな格好が似合わない事ぐらい」

「そういう意味じゃないんだが……さお、米粒」

そう言うと、克幸は向かいの席から手を伸ばした。

「っ、えっ?」

そして、私の口の端についた米粒を取る。

「美人台無し」

克幸はニヤリと笑うと、その米粒を食べた。

く、食うな!人のを!

恥ずかしさのあまりニラんでやると、克幸は更に楽しそうに笑った。



空腹が満たされて一息ついた頃、私は克幸に聞いてみた。

「なぁ、今日ってどこ行くんだ?」



< 47 / 116 >

この作品をシェア

pagetop