アイツは私の初彼氏
一瞬克幸からピリッとした空気が流れたものの、高木の後ろから『ソウマくーん』と声がかかって一変する。
「はぁーい。伊波、また明日学校でな」
そう言うと、さっさとその女の子の方へと行ってしまった。
「な、何だったんだ」
「アイツは高木奏真(たかぎそうま)、同じクラスのヤツだ。面倒なのに見つかったな」
……面倒なの、か。確かにそれっぽいかも。
克幸は『明日どうするかな……』とつぶやきながら移動する。
私も慌てて後に続く。
その時はまだ、予想もしていなかったんだ。
アイツとの出会いが、私にとっても面倒な事になるなんて。
ゲーセンを出た後、私と克幸は大手雑貨屋に入った。
雑貨屋なんて、普段は旭としか入らないから新鮮だ。
「何か買いたい物あるのか?」
「ああ、携帯のストラップ。この前千切れたから新しいの付けようかと思ってな」
そう言って、克幸は携帯グッズのコーナーへと向かう。