アイツは私の初彼氏
「今日は付き合ってくれてありがとな」
家の前に着くと、克幸はそう言って笑った。
「なぁ」
「ん?何だ」
「今日、こんなんでごめん。やっぱ遅れても着替えてくりゃ良かった」
こんな格好、やっぱり私には似合わない。
それが今日だけでよく分かった。
「そうだな。似合わないわけじゃないけど、さおらしさには欠けるかもな」
そう言って、克幸は笑う。
だよなぁ。
私もそう思う。
「けど、俺はあのプリクラ気に入ってる。今日の事は勝手に初デートって事にしておくし」
「あっ、あのなぁ!」
ニヤリと口の端を上げてみせる克幸に、私は思わず焦った。
「後これ」
目の前に揺れる、克幸の携帯ストラップ。
「ありがとな。大事にするから」
「うん、私も」