アイツは私の初彼氏
「―――それで、さおは伊波くんに『おめでとう』って言うわけ!?」
旭に凄まれて、思わず直立不動になる。
って何で私が怒られてんだよ!
やっぱり誰もいない所にしておいて良かった。
私と旭は、屋上の隅っこでこっそり話しをしていた。
「……だって、他に何て言うんだよ」
「そりゃ、『告白されたのっ?』とか『付き合っちゃうの?』とか?」
旭がキラキラした上目使いでそう言ってみせる。
「そういうのはアキラならともかく、私がしたらキモいよ!」
「うーん。伊波くんは喜ぶと思うけど」
「ぜーったいイヤだ!」
自分のそんな姿、想像するだけで悪寒がする。
何より、それを言わなきゃならない理由が分からない。
そう旭に言ってみせると、彼女は『ありえない!』という表情で私を見た。