アイツは私の初彼氏

「さお、もう一度よく考えてみなよ。自分がどうしてそんな気持ちになってるのか」

「そんな事言われても分からないし」

私は、旭の真っ直ぐな目線から顔をそらす。

「ホントに分かんない？」

旭は私の心の奥を探るように見てくる。

まるで、旭には本当の私が見えているみたいだ。

本当の私？

「……やっぱ、分からないよ」

今、一瞬心に揺らいだモノを押し込める。

考えを変えない私を呆れた目で見た旭は、短くため息をついた。

「ま、さおにはすぐには無理かぁ」

「？」

「いっそ言ってみたら？『おめでとう！』って」

旭がイタズラっぽい笑みでそう言う。

そうあっさり言われるとそれはそれで嫌かも。

「うーん」

「どうする？はっきり『ありがとうな』とか言われたら」

「……うっ」

「伊波くんとはもう気軽に話せないかもなー」

「な、何でだよ！」