アイツは私の初彼氏
「だって、彼女が嫌だって言ったらそうなるんじゃない?」
「克幸はそんな奴じゃない!」
「可能性の話よ。伊波くん真面目だしね」
確かに、克幸はそういう所は真面目だ。
それにあの森崎って子、ホント可愛かったしな……。
彼女のストレートの髪や小さな顔が脳裏にちらつく。
そんな彼女に話しかける克幸の姿も。
ズキン。
胸の奥が痛んだ気がした。
何だろ、これ。
「やだな」
気が付くと、そう口からもれていた。
「克幸が誰か、他の女の子と仲良くしてる所なんて、見たくない」
私は制服の胸元をぐっとつかんだ。
「さお、それが『嫉妬』だよ」
「しっ…と?」
「誰かに伊波くんをとられたくない。私以外の人にその笑顔を向けないでほしい。そう思ってない?」
「そう、かも」