アイツは私の初彼氏
誤解と和解
克幸は普段どちらかと言えば言葉少ない方で、笑顔だってほとんど仲間内にしか見せない。
仲良くなると付き合いが良くなるけど、あまり知らない人間には愛想は悪い。
だからよく『怖い』とか『話しかけづらい』と言われてたんだけど、最近そういう克幸がウケるんだろうって義孝が言ってたっけ。
でも今までは、そんな克幸が告白されたって話を聞いても何とも思わなかった。
むしろ、まだ私の方が勝ってるだろ!ってぐらいにしか考えてなかったんだ。
あの日、克幸にキスされるまでは。
なぁ、克幸。
あれは気まぐれだったんじゃないよな?
学校の屋上で言った事も、2度目のキスも。
―――初デートだって言ってた昨日も。
「バカだな。こんな事で涙が出そうになるなんて」
ホームルームが終わり、彼氏が迎えに来た旭と別れた私は、克幸の部活終了も待たずに家路を急いだ。