アイツは私の初彼氏
何となく会いたくなかった。
会えばいつもの私じゃいられない、そんな気がしたから。
心の中がぐるぐると黒いもやが渦巻いてるみたいだ。
怒りと悲しみ。
「克幸のバーカ」
「誰がバカだって?」
「―――っ、えっ!?」
振り返って見たその場所に居たのは、
「克幸っ!?」
憮然とした顔でそこに立つ私の幼なじみ。
「三上が言うから慌てて追っかけてみれば……」
「お前っ、部活はどうしたんだよ!」
「サボってきたんだよ、バーカ」
バカ!?
さっきの仕返しかっ!
「別に来なくても良かったじゃないか!」
思わずそう言うと、克幸の顔はさらに不機嫌なものに変わる。
「必要があると思ったんだよ」
「必要って何のだよ」
売り言葉に買い言葉な状態の私に、克幸は大げさにため息をついてみせた。
「―――さお、何か俺に言いたい事があるんじゃないか?」