アイツは私の初彼氏
ぎくっ。
思わず言葉に詰まってしまう。
旭め、どこまで話したんだよっ!
「言いたいことなんて別に」
「本当か?」
……嘘だよ。
本当は言いたい事や聞きたい事があるんだ。
克幸の目が、圧力をかけるように私を捉える。
「私はただ……克幸に『おめでとう』って」
「『おめでとう』?」
ますます何の事が理解に苦しむ克幸が、考え込む。
「彼女出来たんだろ?見たんだ、化学室で告白されてるのをさ。良かったじゃないか!美人で可愛い子だったし」
私はまるでヤケクソの様に一気にまくし立てる。
「……さお、ちょっと待て」
「盗み見するつもりなかったけどさ、たまたま見えちゃったから悪く思うなよ!」
「さお、」
「しかしお前が親しそうに話す女の子なんて、私とアキラ以外にいないと思ってたからビックリ―――」