アイツは私の初彼氏
「お前に関係ないだろ」
克幸は不機嫌丸出しでそう突き放す。
「関係あるよ!オレあの子気に入っちゃったし。なのに伊波ってば、彼女紹介してくんねーじゃん」
誰の事話してるんだろうと思っていると、チラッと私を見た克幸と目線が合う。
目が合うと、克幸はすぐに高木奏真に向き直った。
「何度言われても、紹介する気はない」
「もしかして、もう伊波の彼女だから?」
その言葉に、克幸はぐっと一瞬詰まる。
「か、彼女じゃない。……まだ」
「そうなんだ?って、そっちの子もしかして葛原さんじゃない?」
しまった!見すぎて目が合っちゃったよ。
しかも名前知られてる?
話の途中で私の存在に気付いた高木は、克幸の後ろに立つ私を覗き込もうとした。
「もう、いいだろう!?悪いけど用事があるんだ。行くぞ、さお」
途端、克幸は私の腕を掴むと高木の前から去ろうと歩き出した。
「ちょ、克幸っ?」