アイツは私の初彼氏


高木に誘われるまま、私はひと気の少ない階段の踊場へと向かった。

外が見える窓に寄りかかって、高木が手招きする。

私は、話をしやすい距離まで近付いた。

「で、何の用なんだ?」

高木は顔だけこちらに向けると、にこりと笑ってみせた。

「葛原さんって、伊波とは付き合い長いの?」

「幼なじみだけど」

「幼なじみかぁ~。なるほど、あの伊波が心を許してるって感じするよねぇ!」

のらりくらり話をする高木の真意を、私は掴めない。

「聞きたい事はそれだけか?」

「いやいや、もうちょっと話そうよ」

「悪いけど、他愛ない話をする仲じゃないと思うし」

ゆっくり近付いてくる高木に、私は思わず後ろに下がる。

「話はこれからが本題だから、もうちょっと聞いてよ」

「本題って?」

そう聞くと、高木は満足げに笑ってみせた。



< 75 / 116 >

この作品をシェア

pagetop