アイツは私の初彼氏
高木に誘われるまま、私はひと気の少ない階段の踊場へと向かった。
外が見える窓に寄りかかって、高木が手招きする。
私は、話をしやすい距離まで近付いた。
「で、何の用なんだ?」
高木は顔だけこちらに向けると、にこりと笑ってみせた。
「葛原さんって、伊波とは付き合い長いの?」
「幼なじみだけど」
「幼なじみかぁ~。なるほど、あの伊波が心を許してるって感じするよねぇ!」
のらりくらり話をする高木の真意を、私は掴めない。
「聞きたい事はそれだけか?」
「いやいや、もうちょっと話そうよ」
「悪いけど、他愛ない話をする仲じゃないと思うし」
ゆっくり近付いてくる高木に、私は思わず後ろに下がる。
「話はこれからが本題だから、もうちょっと聞いてよ」
「本題って?」
そう聞くと、高木は満足げに笑ってみせた。