アイツは私の初彼氏
「うっ……」
『可愛い』を連発されて、私は思わずひるむ。
何だか恥ずかしくなってきた。
「普段の葛原さんだって細くてスタイルいいし、髪伸ばせば美人だと思うなぁ」
おまけに『美人』とまで言われて、聞き慣れない言葉に目が回りそうだった。
いや、コイツはこーいうヤツなんだ。
ペースを乱されてどうする!
「口から出任せもいい加減にしろよ!もう、いいだろ!?」
私は話しを終わらせるべくそう言うと、その場を去ろうとした。
「待った待った!」
けれど高木に手首を掴まれて留まらされる。
「離せよ!」
「……ホントに口から出任せだと思うの?」
急に、高木が真面目な顔になってそう言った。
声のトーンもさっきまでとは打って変わって、低く響く。
「オレ、これでも真面目に言ってるから。よく軽いって思われるけど、嘘は言わないよ」