アイツは私の初彼氏
ドキン。
高木の真剣な目から、目をそらせない。
何だコレ。
腕に力が入らない。
「ね、オレの事真剣に考えて欲しい」
逃げたいのに、逃げられない。
「最初は時々話してくれるだけでいいから。そこから始めようよ」
熱のこもった視線が私に向けられる。
心臓が早鐘を打っていて、落ち着かない。
どうしよう。どうすればいい!?
ワケが分からなくなる。
『アイツには近付くな』
克幸の声が聞こえた気がした。
その時、
「ねー、帰りどっか寄る?」
「そだね。私、なんか甘いもの食べたいな」
上の階から人の声が聞こえて、冷静さを取り戻した私は高木の手を払った。
「もう、帰るから!」
それだけ言うと、私はその場から逃げ出した。