アイツは私の初彼氏
初めての秘密
高木の元から逃げ出した私は、まだ人の残る教室に戻る気がしなくて屋上まで上がった。
「はー……」
外の風に吹かれて、深呼吸をすると落ち着いてきた様な感じがする。
屋上から運動場が見えた。
多分、克幸もあそこで走ってる。
それにしても何なんだ、アイツは。
チャラけてるのかマジなのか全く分からない。
義孝や満也が同じ様な事言ったら張り倒してやるのに、アイツにはそれが出来なかった。
何でだろ……。
ため息をつきながらぼんやりしていると、携帯が振動で着信を伝えた。
見ると、旭の名前が表示されている。
「……アキラ」
『さお?大丈夫っ?あのバカに何かされてない?』
「はは。大丈夫だよ」
私は力無く笑う。
でも、親友の声を聞いてホッとした。
『今どこに居るの?』
「屋上」
そう言うと、旭はすぐ飛んできてくれた。