アイツは私の初彼氏
「克幸、私がそういうの興味ないって知ってんだろ!?」
反論しても、ヤツはしれっとした顔で言う。
「知ってる」
「なら聞くなよっ」
「先に聞いたのはお前だろ」
「……うっ」
確かにそうだ。
それには何も言えなくなって黙る。
すると克幸はニヤリと得意気に笑った。
「ま、それにお前じゃあ彼氏より彼女が出来かねんしな」
「うるせっ」
腹が立ってパンチを繰り出すが、克幸はひょいとよけて私の腕を掴んだ。
「もし……彼氏が欲しいなら、協力しない事もない」
そのまま、もう片方の腕も封じられる。
いつの間にか私の背後には塀があり、逃れられない状態に追い込まれた。
「なんだよっ」
私を見下ろす克幸の目は真摯で、揺るがない。
あまりにも真っ直ぐ見てくるので、こっちも目が離せずにいて。