アイツは私の初彼氏
旭は私の話を聞いて、大きくため息をついた。
「アイツ、油断も隙もないヤツね。さおもそういう方面は初心者みたいなもんだからねぇ」
旭が言うには、私は女扱いされる事に慣れてないからペースを崩されるんじゃないかって事だった。
確かにそれはあるかもしれないな。
「とにかく、チャラ高木には近付かない方がいいと思う。無視よ、無視!」
「そうだな。そうする」
逃げるのは主義じゃないけど、この際そうした方が良さそうだ。
それに、克幸にも言われてるし。
克幸の部活が終わる頃、旭と別れた私は後片付けをする陸上部を見ていた。
この後、克幸とゲーム屋に行く事になっている。
もちろんさっきの事は話さない。
下手に話すと怒られそうだしな。
でも、克幸に秘密が出来てしまうのか。
幼なじみやってきて16年、今までそんなの無かったのに。
ズキン、と胸の奥が痛んだ気がした。