アイツは私の初彼氏
だんだんと無視するのが面倒になってきた私は、適当な相づちを打つ。
「次の小テストに出そうな所、教えてあげようか?」
「えっ?……あ、いや、いい」
うっかり乗りそうになってしまった。
「あは、必要になったらいつでも言ってよ」
「あーまぁ、うん」
こうして話してる分にはたいしてイヤな感じはしないな。
克幸に秘密にする必要もないかな?と思ってしまう。
でも『アイツに近付くな』と言った時の克幸の顔を思い出すと、ちょっと後ろめたい気持ちになる。
珍しく怖い顔してたし。
「―――さん、聞いてた?」
「あっ?え、何だっけ」
「聞いてなかったのかぁ。じゃ、罰としてこれから『沙織ちゃん』って呼んでいい?」
「はぁ!?」
急に何言ってんだ、コイツは!
「決まりだね!沙織ちゃん!」
「やめろってば!」
「さお、何でソイツといるんだ?」
その時、教室の入り口から馴染みのある声がした。