アイツは私の初彼氏
言葉に出来ない想い
「克幸……」
「おっと、伊波に見つかっちゃったか」
しかも間の悪い事に、何故か高木は私の肩に手をやったりしていて。
克幸の顔が更に雲行きが悪くなっていく。
「……離せ」
「伊波、そんな怖い顔するなよ!沙織ちゃんも驚いてるだろ?」
「その手を離して、お前はさおから離れろ」
怒ってる。
ものっすごく怒ってる。
それは、克幸の後ろからどす黒いオーラが見えそうな程だ。
「克幸、ごめん私っ―――」
私は慌てて克幸に謝ろうとした。
すると、突然誰かの腕が回されて、
「ちょっと待った」
気がつくと私は高木に後ろから抱きすくめられていた。
「……っ、え?」
同時に漂った香水の匂いをもろに吸い込んで、私は軽いめまいを覚える。
「伊波に、沙織ちゃんを独り占めする権利があるわけ?」
そう言って、ヤツは私の肩に顎を乗せた。