アイツは私の初彼氏


「なん、だって?」

克幸の顔がますます険しくなる。

私はパニックで身動きが取れないでいた。

「2人は仲良いけど、ただの幼なじみだよね?それならオレがアピールしたって問題ないでしょ?」

「……っ」

克幸の顔が怒りとは違う歪みを浮かべる。

「オレ、沙織ちゃんが好きだし。もっと仲良くなりたいんだよね」

「……そうだとしても、さおを離せよ」

「えー?どうしようか、ねぇ?沙織ちゃん」

そこで、やっと私の思考がはっきりとした。

って、何だよ。この状態は!

「とっとと離せ!」

そう言うと、思いっきりかかとで高木の足先を踏みつけてやった。

「いっ……て」

その時、高木の拘束が緩んで私はその腕から逃れた。

「さお!」

途端、克幸の腕が伸びてきて引き寄せられる。

勢いで私の身体は頭から克幸の肩口に突っ込んだ。

「うぶっ」



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