アイツは私の初彼氏
「うりゃっ、くっ!……このっ」
イライラが収まらない私は、学校からの帰りにゲームセンターに寄り道していた。
初めての一人ゲーセン。
いつもは克幸や、みんなと来るのに。
そう思うと余計に腹が立って、私はよりゲームに熱中していた。
「あっ、何だよ!ったく……」
つまらないミスでゲームオーバーを告げられて、私はそのゲーム機を後にする。
他に何かいいゲームは無いかと探していると、後ろから誰かに呼びかけられた。
「沙織ちゃん!」
声と呼び方に嫌な予感を覚えつつ振り向くと、そこにはやっぱりアイツがいた。
「高木……」
「久しぶりだね!話すのはこの間以来?」
そういえばあれから、高木も姿を現さなくなっていた。
たまに見かけた事もあるけど、そういう時はたいてい女の子に囲まれているヤツだ。
こっちは忘れかけてたのに……。
「そういえば、そうだな」
「冷たいな~。オレは会いたいのをガマンしてたってのに」