アイツは私の初彼氏
私の冷たい態度にも、高木はへこたれない。
楽しそうに笑いかけてくる。
「そういえば、沙織ちゃん1人?さっきから1人でゲームしてたよね」
「……まぁ、そうだけど」
「オレも今日は1人なんだ!一緒に遊んじゃおっか」
な、何でそういう展開になるんだよ!
けど確かに、高木の周りにはあれだけ群がっていた女の子が1人としていない。
「悪いけど私、もう帰――」
「あっ!あれ、オレ得意なんだ。やろー!」
『帰る』と言いかけた私の言葉を遮って、高木は私を強引に一台のゲーム機の前に連れてきた。
それは、私もハマってる音楽ゲームだ。
足で4つのパネルを踏むヤツで、リズム感と反射神経を必要とするもの。
ストレス発散にもなるし、なかなか楽しいんだよな……。
迷っていると、高木はさっさとコインを2人分入れてスタートさせた。
「行くよ!沙織ちゃん頑張ってね~」
「えっ!ちょっと待って……」
つい、体がいつもの様にゲームを始めてしまう。