アイツは私の初彼氏


「っ、はぁ、ふぅ……」

「あはは!久々に全力出しちゃったよ!」

3曲連続で難しい曲をプレイさせられて、私は大息をついていた。



高木は、上手かった。意外な程に。

いつもならリタイアしちゃう曲も、1人で最後まで保たせてたし。

「アンタ、ほんとに得意なんだな」

私は驚きから、素直にそう口にした。

「分かってもらえて嬉しーよ。どうする?もいっかい行くっ?」

「ちょ……休憩したい」

「了解!あっちの椅子借りて座ろっか」

そのまま、私は流れで空いたゲームについている椅子に座った。

高木も、隣に座る。

「沙織ちゃん、疲れた?」

「ちょっとね。でも、結構気持ちいい疲れかな」

「だよねー」

楽しかったおかげで気分が上昇した私は、高木とも普通に話していた。

「アンタまだまだ疲れてなさそうだね」

「……って、沙織ちゃんてば『アンタ』はないんじゃないかなぁ?」

「え……じゃ、高木」

「じゃなくて!奏真って呼んでよ!」



< 93 / 116 >

この作品をシェア

pagetop