アイツは私の初彼氏
「さお、アンタあのチャラ男と付き合ってんのっ?」
旭の顔がググッとアップに迫る。
「はぁ?一体、何の話だよ」
「さっき一緒に居たよね?」
「それは!……アイツとは昼飯一緒に食べただけだよ」
「じゃあ何で噂になってんのよ」
「……噂?」
旭が言うには、今朝から教室に妙な空気が漂っていたそうだ。
「女子も男子もそれぞれで固まっちゃってさ、こそこそ盛り上がってんの」
男子の方はともかく、女子の空気は黒い熱気を感じる程だったようだ。
とはいえ、そういう事にあまり興味のない旭は気にしなかったのだけど、噂の中心人物が私と奏真だという事が分かって驚いたらしい。
「思わず、その時話してた子達の輪の中に顔突っ込んじゃったよ」
「アキラがっ?信じられない」
「私だって!でも、よりによってまさか……さおとチャラ男が付き合ってるなんて噂聞く事になるなんて」