アイツは私の初彼氏
そこに現れたのは
「えっと、話って何かな?」
彼女らに誘われるがままやってきたのは、ひと気のない校舎裏。
隅っこで壁に追い詰められた私と、その私を囲む5人の女の子達。
この構図はもしや、噂に聞くあれではなかろうか。
『アンタ生意気なのよ!』
とかいう……。
あ、ダメだ。何かワクワクしてきた!
危うく笑みがもれそうになる私に対し、彼女らは真剣そのもの。
しばらくの沈黙の後、リーダー格の女の子が口を開いた。
「葛原さんは、奏真くんの事どう思ってるの?」
「は?……え?」
思っていた事と違う事を言われた私は、思わず2度聞きした。
「最近の奏真くんってば葛原さんの事追い回してばかりで、私達とは遊んでくれなくなったの。分かってるよね?」
そういえば彼女達、いつも奏真と一緒にいた子達だ。
「今までの奏真くんは、興味を示しても自分から追いかける事なんてなかったの。……それなのに」
そこで言葉を切った彼女に睨みつけられる。
他の子達も私をじっと見る。