アイツは私の初彼氏
「あ、あのさ。私は別に奏真の事なんて」
彼女達の迫力に負けながら私がそう言い出した時―――。
「待ちなさいよっ!」
そう声がして、更に数人の女の子達がなだれ込んできた。
え?どういう事?
「アンタ達、葛原さんに手を出したら許さないって言ったでしょう!」
「うるさいわねっ!アンタらみたいに見てるだけなんてやってらんないわよ!」
気が付けば、私を置いて言い争いを始めてしまった。
「私達だって葛原さんをチャラ男なんかの好きにさせたくないんだから」
「チャラ男って何よ!奏真くんはカッコいいんだからね!」
ちょっと、絶対私の存在忘れてるだろ?
私がどうしたものか考え込んでいると、突然腕を掴まれてグイッと後ろに引かれた。
そのまま背にしていた角に引き込まれる。
「う、……」
驚いて言葉を口にしようとすると、後ろから誰かに羽交い締めされて口をふさがれた。