滅 ―不良と不良の恋愛論―
「俺…、なんっも変装してないんだけど。」
珀が少々不安そうに言う。
珀はいつも通りの金髪に、裸眼。
敵対している〈轟-ゴウ-〉には、格好の的になるだろう。
「珀って、いつも僕がピンチにならないと出てこないんだから。いい機会だよ、殴られてきなよ。」
「おまっ…、総長の言うことじゃねーだろ。」
「はい、総長とか言うの禁止ー。僕が変装してる意味がなくなる。」
「総長。」
「殴るよ?」
「ゴメンナサイ。」
いつの間にか、コントじみた会話になっている。
まあ、これがいつもの二人なのだが。