滅 ―不良と不良の恋愛論―
すると、〈轟-ゴウ-〉の総長は藍に顔をぐいっと近づけ
「痛いか?」
と、言った。
(え、なにコイツ…。話聞いてないの?)
先ほど、痛いから離せと懇願したにもかかわらず、この発言。
藍が頭を悩ませていると、
またさらにグッと押さえつけられる。
「なら、この痛みと一緒に刻み込んでおけ。俺の名前は……、漆夜。秋月漆夜(アキヅキシツヤ)だ。」
〈轟-ゴウ-〉総長――――いや、秋月漆夜は、そう言って藍の肩から手を退けて、去っていった。
「秋月……漆夜。」
藍の呟きは、誰にも届くことはなかった。