滅 ―不良と不良の恋愛論―
「僕はもともと男みたいなモンだし、気にしなくてイイんじゃない?」
「お前……分かってねぇな、自分の容姿を。モロ女だから、気付かれないのが不思議なくらい。」
珀はこう言っているが
藍の顔は中性的で整っているのだ。
男の格好をしていれば、それなりの美少年に見える。
現に、喫茶店にいる女性達は、チラチラと二人に熱い視線を送っている。
「僕、自分の容姿くらい分かってるよ。」
むぅ、と頬を膨らませ怒る藍。
「それなら男子校には――」
「目立たない平凡でしょ。」
「………は?」
珀は固まった。
(やっぱり自覚無しかよ藍の奴……。)
と、こっそり心の中で呟いた。