CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「それじゃあ、今彼等の居場所も…」
『あぁ、分かるぜ!
奴らの幹部の一人は、先程捕まえてロッテワールドホテルの一室に居るそうだ。』
「わかりました。
それじゃあ、直ぐにホテルに向かいます。」
車を走らせ20分程でロッテワールドホテルに到着した。
俺は、裏側の社員専用通用口から入って行った。
勿論、力を使って守衛さんの記憶に残らないようにした。
監視カメラにも横を向いて貰い、アッサリと侵入成功である。
そして、アボジ(親父)から聴いていた部屋番号についたら、軽く三度、そして強く二度ノックをしたら、中から以前ケンカをした事のある、テギル君の元兄貴分の徐氏(ソさん)が現れた。
『お久しぶりです、チャンスさん。
どうぞ中へ!』
「ソバン派の若いのが動いてくれてるって聴いていたけど、まさか徐氏とは、変な縁だな!
ところで、青紅会の幹部は!?」
『奥のソファーでぐっすり眠っていまさぁ!』
「体に傷つけて無いだろうな!?」
『ボスから言われてますから、ちゃんと無傷で捕獲しましたさ!』
「睡眠薬は、後どれくらいで切れるんだい?」
『まぁ1時間くらいで醒めると思いまさぁ!』
「わかった!
後は俺がやるから、徐氏は帰ってて下さい。
今日は助かったよ!
この事は、他言無用でお願いします。
知っているのは、徐氏と金親分だけで!」
念を押して言うと、徐氏はわかった!わかった!と頭を下げながら、部屋を出て行った。
青紅会の幹部を縛りあげている縄を解いて、鼻先にアンモニアの入っている小瓶の蓋を取って近付けた。
一瞬ビクッと小さく痙攣して、その男は露骨に嫌な顔をしながら鼻を塞ぎながら体を起こし、目を開いた。
と、その瞬間こちらに気付き、慌てて立ち上がった。
懐に手を突っ込んだので、多分拳銃でも取り出そうと言うのだろう。
が、残念ながら先程徐氏(ソさん)が、抜き取って持って行ってしまっている。
俺は、ゆっくりとした広東語で、
「何も危害を加えないから、安心してもう一度座りなよ!」
『お前は誰だ?
ここはどこだ?』
「ここはロッテワールドホテルの中の一室だよ。
俺は、あんたらが狙っていた新星音楽公司(新星MUSIC)の高だよ。」