CHANCE 2 (後編) =Turbulence=





ゴールデンウィーク初日、俺達XYZのベストアルバムの録音の日が遣ってきた。


そういえば、以前もゴールデンウィークに録音したっけ!

今日は、一昨年発売したシングルで去年のベストアルバムから選考漏れしたのを、アボジ(親父)の命令でアレンジし直した3曲を収録するそうだ。


この日の為に毎日遅くまでアレンジし直して練習してきたのだ。


1曲目は、『Target』


2曲目が、『Happy day』


3曲目の、『Infection』


を10日でアレンジし直した俺。


偉いっしょ!?


誰か誉めてくれよ~!


新星MUSICが去年の夏に、都営大江戸線と中央本線と山手線に囲まれた新宿区百人町に建設した新しいスタジオ、そこは新星MUSICの新たな録音スタジオで、そこからテレビ中継をする事も可能なテレビ局にもなっている。


そこの地下1階に、今俺達は来ているのだ。


地上7階、地下2階の新星メインスタジオビル、アボジ(親父)のこだわりもあって、凄く贅沢な造りである。


地下2階は、全て駐車場になっており地下1階がCDを作るための録音スタジオ及びミーティングルール、そして休憩室になっているのだ。


地上1階から4階は、録音前や録音の間にミュージシャン達が練習するためのスタジオとなっており、大小様々な部屋が在る。


5階と6階は、テレビ放送用のスタジオで100数十人入れるAスタジオと、その隣にSスタジオがあり、他にもBスタジオとCスタジオの計4スタジオと調整室、福調整室、編集室などが在る。



7階は、宿泊施設と大会議室、それにインターネット事業部が入っているのだ。


総工費数十億円掛けて建てたこのスタジオビルが、新星MUSICの心臓部になっている。


いろんなミュージシャン達の音源の原盤も、このスタジオビルに保管されており、24時間体制で警備されており、常に信頼の置けるスタッフが交代で在中しているのだ。


いくら俺が会長の息子で常務取締役であっても、新宿にある日本支社発行の入館証が無いと入れないのだから、入館証を忘れてきたら、取りに帰らないと駄目なのだ。


当然、本堂さんと天道君(シン)は去年の夏からこのビルで勤務している。


本郷スタジオ(第9NSスタジオ)は、かわりに去年まで原宿スタジオの西条店長の下で主任をしていた木下さんが、本郷スタジオの店長として抜擢された。


木下さんは、俺の高校時代のバンド仲間と良く出演していた渋谷のライブハウスで音響遣ってたのを、親父が倍の給料を初任給で出すからと引き抜いてきたのだ。


< 139 / 371 >

この作品をシェア

pagetop