CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
高橋さんが俺達を楽屋に呼んだ。
『皆さんお疲れ様でした!』
「チャンス君もジョージ君も、今日は来てくれてありがとうな!
これから皆で焼き肉屋で打ち上げすんのよ。
一緒に行こうぜ?」
『良いんですか?
ありがとうございます。
是非ご一緒させて下さい。』
「よし、そうと決まればサッサと片付けて行こうぜ。」
遣ってきたのは、すぐ近くの焼き肉屋さん。
メニューも豊富な若者達が喜びそうなお店だった。
値段も手頃で、店内は晩飯時を過ぎているにもかかわらず満席に近い状態だ。
『すんません。高橋で予約してたんやけど、2人増えたから!』
「分かりました。
少し広めの部屋を取っていますので、大丈夫ですよ。
すぐに2人分のセットを用意いたしますね。」
と言って、おばちゃんは厨房の中に消えていった。
『それじゃあ、2人ともこっち来て座ろうぜ!』
「失礼します。」
と言いながら、俺達は掘りごたつ式のテーブルに座った。
乾杯したあと、メンバーがそれぞれ自己紹介を始めだした。
『俺は、高橋保(たかはしたもつ)。バツイチ子持ちの32才!
俺らのバンドのリーダーでボーカル。
元は、陸自で軍曹遣ってた。』
「俺は、ドラム担当の陣内祐一(じんないゆういち)。
保(たもつ)とは小学校からずっと一緒だ。
昔は左官屋で見習いしながらバンド遣ってた。
32才の妻子持ち。
妻は、元レディースでおっかないけど別嬪だぜ!」
『俺は角川潤三(かどかわじゅんぞう)。
リーダーや陣内さんの1こ下で、高校ん時の後輩。
ギター担当の31才独身。
メジャーデビューするまではバンド遣りながら清掃業社でアルバイト遣ってた。
新星グループのビル清掃もしたこと有るぜ!』
「それって、関東美装ですよね?!」
『正解!
あそこの社長さんは太っ腹で、
日当10000円くれるから、かなり生活助かったんだぜ。』
「俺は角川と高校ん時の同級生で同じく31才独身の池内亮(いけうちりょう)。
ベース担当だ。」
『俺は、鶴海秀夫(つるみひでお)。30才独身
チーマー遣ってたけど、高橋さんに拾われてこの世界に入ってきた。
小学校からピアノ遣ってたって言ったら、キーボードとしてメンバーにも入れてくれた。
16才の時に両親が交通事故で亡くなってグレてたけど、今は昔に比べたらマシになったと思う。』