CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『なんだい、チャンス君?』
「秋菜さんとは、結婚を前提にお付き合いしているんですよね?!」
『当然だろ!
でなきゃ、彼女の父親に挨拶に行きますからって言わねえし!
まぁ、結婚を許してくれるかどうかはまだわかんねぇけど、俺は諦めねえし、許してくれるまで何度でも会いに行くし。』
「そうなんですか!
以前、色んな女性と噂になっていたそうですが、今は秋菜さんだけなんですよね!?」
『勿論さ!
って言うか、秋菜が俺の携帯のメモリーに入ってた女友達全員に電話掛けて、私の旦那に手を出すんじゃないわよ!
なんて、俺の知らない間に電話してたみたいだし、綺麗に手は切れたぜ……』
「……ハハハ……知らない間に…
そうですか…」
『マッ、俺が風呂入ってる時とか、寝てる時にとかだよ。
そう言う訳だから、俺は秋菜と所帯持って、あいつと産まれて来る子供んためにも、この音楽の世界で頑張って行くちゅうわけさ!』
「エッ!子供?!」
『おう、きいてないのか?
秋菜ん腹ん中には、俺の子供がいるんだぜ。
まだ親指ほどの大きさしかねぇけど、秋菜と俺の新しい家族が居るんだよ。』
「そうですか。
おめでとうございます。」
『ちゅう訳で、秋菜の親父さんは、自分の娘ん事だから心配だと思うけど、安心して俺んところに嫁がせて欲しいんだよなぁ。』
「分かりました。
藤本教授には、俺からも上手く言っておきますね。」
『頼むよ、チャンス君!
もとチーマーって言ったって、10年以上も前の話だし、これでも一応後から大学受け直して、東京芸大卒業してるし!』
「えぇ~エッ!
東京芸大卒なんですか?!」
『リーダーが、
これからは学歴が人生を左右する事が多々有るだろうから、大学位は行っとけ!
って言うもんだから、ジョークで受けたら受かった!』
ハハハ…、大したもんである。
よくよく話をきいてみたら、東京芸術大学音楽学部・音楽研究科の器楽科でピアノを専攻していたそうだ。
この大した男の過去を少しだけ覗いてみたくなった。