CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
6月18日(月曜日)
昨日は、あの後ジョージと別れてから、直ぐに帰宅して寝た。
朝起きたら、少しはイライラ感は収まっていたが、それでも藤本教授への報告を考えると気が滅入りそうになる。
朝一で新星MUSICに行き、1週間分のスケジュールを貰った。
今日は、夜の7時からの音楽番組の収録が1本有るだけなので、4階の社員食堂でキムチ入りの肉うどん定食を食べてから、大学へと向かった。
自分の住むマンションの地下駐車場に新しく購入した愛車の日産エルグランド2.5 250 ハイウェイスターを駐車してから、歩いて本郷キャンパスへと向かった。
大学に着いた俺は、藤本教授の研究室に歩みを進めた。
途中で数人の女子生徒からサインを強請られ、仕方なく無理やり作り笑顔で手渡された色紙にサインしていった。
20分掛けて漸く藤本教授の元へと遣ってきたら、教授は講義中だった。
研究室にいた助手をしている院生の岡崎さんと言う人は、スケジュール表
を見ながら、
『藤本教授は12時10分まで講義が入っていますから、こちらに戻って来るのは、12時半を過ぎると思いますよ。』
「そうですか。
分かりました。
それでは、その頃にもう一度伺わせて頂きます。」
『そうして下さい。
教授が戻って来ましたら、行き違いに成らない様に研究室に居て貰っておきますので。』
「ありがとうございます。
それでは失礼します。」
『あっ、高山君、今暇かなぁ?』
「午後の4コマ目が始まる2時50分まで、たっぷり暇してます。」
『それじゃあさ、用事頼まれてくれないかなぁ!?』
「なんか嫌な予感がするんですけど…」
『大した事じゃあ無いです。
学生支援センターまで行って、昨日貸し出したDVDの回収を頼みたいんだ。
私がたのまれていたんだが、大事な連絡が入るから教授が戻って来るまで、研究室を空にするわけにいかないんだ。』
「学生支援センターって言ったら、本部棟からかなり離れた御殿下記念館じゃないですか?!
かなり有りますよ。
DVDって何枚ですか!?」
『1枚だけだから、宜しくお願いな!』
「分かりました。
それじゃあ行って来ます。」