CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
彼女は、
『ハイ!』
と、しっかりとした口調で返事をし、お辞儀したついでに先ほど落としたスケッチブックを拾いあげた。
俺は、彼女からスケッチブックを手に取り、先程書かれたページを破り懐に仕舞った。
そして、一礼して
「お邪魔しました!」
と言いながら、彼女の頭の中へ
「今日のこの出来事や俺が来た事は、この扉を閉めた瞬間に忘れてください。
それから、貴方は話せる様になった。」
と命じて扉を閉めた。
俺は、階段を降りながら笑っていた。
単純に考えれば分かる話だ。
まさかの妹だった!
藤本教授に笑われて仕舞いそうだ。
それじゃあ、頑張って仕事に行きますか!
自分自身に気合いを入れ直して、愛車に乗り込み、音楽番組の収録に向かった。