CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
第7章 Leaving The Nest
1. Graduation - Kojiro & Ikumi
俺達XYZ の活動は、大学を卒業するまでと最初から決まっていた。
残り6ヶ月、出来る限りの事をやって、悔いを残さないように頑張る。
と、思ってはみたものの、なかなか思うようにはいかんぜよ。
って、ジョージも唸っている。
皆も唸っている。
どういう訳か唸っている。
だって、卒論(卒業論文)、レポート用紙100枚以上書かないといけない教育学部や経済学部。
題材を決めるだけなのに早くも数ヶ月経ってしまった。
『チャンス、卒論のテーマって何にしたの~?』
「ゆとり教育と詰め込み教育における現代教育の方向性みたいなのにする。
ジョージは?」
『おいらはねぇ、語学教育のあり方って題材で書いていくじょ!
何で日本人は外国語によわいのか!って感じかな?
テジュンは?』
「俺は分かりやすく、アジア諸国への貿易と日本の成長率みたいなのにした。
ケントは?」
『俺は、グローバル社会における日本経済とネット産業の行方を書くんだ。
うちのゼミの教授は、気難しいから、ちゃんと
(はじめに)って言うのを書いてから
第1章 起
第2章 承
第3章 転
第4章 結
って書いて、その後に、(主観)って言う自分なりの感想みたいなんもいれて、
(終わりに)って言う締めの言葉みたいなのを書かないと駄目だっていわれたよ。
その上、論文書くにあたって、参考文献や資料を添付したら、どこの部分を引用したかもかいて提出しろって言うんだぜ。』
「ケント?」
『なに?』
「それ、普通だって!
きっちりもなにも、その書き方が基本だから。
きちんと起承転結で書かれた論文は、読みやすくて、A判定貰いやすいんだぜ。」
『そうなんだ!
じゃあ、基本的な書き方の説明をしてくれてただけなんだ。
ハハハ‥‥‥‥‥』
「ケント、ちゃんと教授の話し聞いてるの?
各章ごとに、それぞれ関連したテーマを提示して、節ごとに区切って書いていくんだよ。
それと、各章だいたい4~5節くらいに分けてな!」
『なんかめんどくさいなぁ。
誰か代筆してくれる奴居ねぇかなぁ?』
「いるぜ!
うちの卒業生なんだけど、大抵のジャンルの卒論なら書いてくれるぞ!
参考文献や資料と一緒に論文のタイトル、各章のタイトル、各節のタイトルだけかいてわたしたら、レポート用紙1枚につき500円で請け負ってくれるんだと!
だから100枚なら50000円って感じ。」
『その人って何してる人?』
「うちの韓日物産の社員。」
『テジュンのとこの社員?
何で、卒論請け負いなんてやってんの?』
「彼、本読んだり文章書いたりするのが好きって言うか、殆ど趣味の域に達しているから。
お金貰って書くと、お金を貰ったって責任感も出てきて、気合いが入るそうなんだ。
期限が有るのにも闘志が燃えるそうだ。」
『変わった人だにゃあ!
おいらは無理だじょ~!』
「その人に頼めば、ワード作成でも手書きでもOKだって言ってたぞ。」
『まさか、本を丸写しって言うんじゃ無いよね?』
「それは無い!
彼のポリシーにも反するし!
彼は、如何に自分の考えで表現して論文を構成していき、A判定を多く取れるかを考えているから。」
『その人って、メチャクチャ頭良い人みたいだけど、ちょっと付き合いにくそう。』
「まぁ、明らかに変わり者ではあるな。
うちの会社の中でも、かなり浮いてるから。」
『見た目も凄いの?』
「モロOTK系だ。」
『OTK?
テジュン、それっ』
「OTKって言うのは、オタクって言う意味だ。
AKBみたいな?」
『なんじゃそれ!』