CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『別に変わった事は何も無いが。』
「良~く見てください。」
『見てくださいって言っても、洋服がハンガーに掛かっているのと、ズボンがたたんで積み重ねられているのと、後はギターのハードケースが有るだけだが!?』
「だから、何でギターケースがここに有るんだって言ってるんですよ!」
『だって、お前が日本から持って来たんだろ!?
いつだって、このギターを持って来てるじゃないか!』
「今回は、色々とプロデュースの事で遣らなければいけないから、忙しいだろうと思い持って来なかったんですよ!」
『じゃあ、何でここに有るんだ!?』
「だから、アボジを呼んだんですよ!」
『まさか、力を使って日本から瞬間移動させたって言うのかい!?
いくら何でも、日本から物体の瞬間移動は無いだろう!
チャンスの思い違いじゃ無いのか!?
実は、日本から持って来てましたなんてジョーク言わないだろうな!?』
「そんな状況では無いですよ。
本当に持って来て無いんですから。
仮に持って来ていたとしたら、このバッグの様に、空港の荷物タグが付いているはずですよ。
ギターケースには、名前すら貼って無いんですから。」
『じゃあ、ホントに日本からテレポートさせたって言うんだな!』
「だと思ってます。
そう言えば、さっき……。」
『さっき何かあったのか!?』
「ハイ。
ギター弾きた~いって思いっきり叫んだら、このクローゼットの辺りで《ゴトッ》って言う音がしたんです。
俺は、てっきりネズミが出たんかなって思って…」
『分かった。
ちょっとアボジ(親父=俺のハラボジ)呼んで来る。』
と言って、アボジは上に上がって行った。
それから直ぐにアボジはハラボジと一緒にやって来た。
「ハラボジ、日本からギターをテレポートさせたみたいなんですけど……。」
『チャンスや!
お前は150年に一度生まれてくる凄い力を持った子じゃ!
間違いなく物体の瞬間移動じゃろう。
御先祖様の記録の中には、朝鮮王朝時代に、ビジョンや物の記憶を読み取ったりする以外にも、物を突然出したり、消したり出来た人がいる。
その人は、李王朝の中宗王の孫に当たる宣祖王に仕える文官で、高 一雨(コ イルウ)と言う人じゃ。』
「それは、いつ頃の人ですか!?」