CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
3. Complete Recovery
報せを受けてやって来た東京医大病院。
極度の過労から来る貧血で倒れたと言う担当医。
一応、詳しい検査をして何も無ければ2~3日で退院出来るそうだ。
オモニ(お袋)の実家の仁寺洞(韓国家庭料理のお店)で別れたあと、妹のソラとアボジ(親父)は、KYUを交えて楽しく話をしていたそうだ。
そして、向かえの代行運転サービスがやって来たので帰ろうと立ち上がった瞬間、ソラとKYUの目の前で倒れたんだそうだ。
オモニ(お袋)が救急車を呼んでいる間に、ソラが俺に連絡しで、その時KYUはアボジ(親父)の頭を動かさない様に固定しながら、ネクタイを緩めたり呼吸を確認したりしていたそうだ。
なかなか頼りになるヤツだ。
3時間程した頃、アボジ(親父)が目を覚まし、オモニ(お袋)も漸く落ち着いた。
さっきまでは、まるでオモニ(お袋)の方が病人の様に真っ青な顔をして、震えていたのだ。
「ヨボ(あなた)、大丈夫ですか?」
『心配かけてゴメンねヨンミちゃん。
ちょっと寝不足だったからフラッとしただけだから。
もう心配無いからね!
驚いたかい?』
「当たり前でしょ?!
どれだけ心配した事か。
貴方にもしもの事があったら、私も後を追うつもりだったんだからね!」
『アボジ(親父)は、少し働きすぎだから、ゆっくり休めるときに休んどいて下さいね!
オモニ(お袋)は、物騒な事を言わないでアボジの看病宜しくね!
アボジ、急ぎで遣っとかないといけないものって有りますか?』
「本社の方は、副社長に任せておけば大丈夫だし、こっちも当面は大丈夫だろう。
何か有れば、李支社長と相談しながらやってくれ。
兎に角、今は疲れたからグッスリと眠りたい。」
『分かりました。
それでは、ゆっくりと休んどいて下さい。
後で白川GMが来るそうですので。
失礼します。』
と言って、病室をあとにした。
その階の詰所で、宜しくお願いしますと挨拶をしてから、1階におりた。
KYUとソラを実家で降ろしてから、2~3日分の入院中の着替えとか、歯ブラシからコップ、箸やスプーン、タオルやティッシュペーパー等、必要なものをバッグに詰め込み、ふたたび病院に向かった。
「オモニ(お袋)、アボジ(親父)の着替え持ってきたから!」
『あら、ありがとー!』
「アボジ(親父)は?」
『今、診察室。』
「容態が悪化したとか?」
『そんなんじゃなくってよ。
MRIとか、心電図とか、何か検査をしてるのよ。』
「そっかぁ!
オモニ、今日はここに泊まるんでしょ?」
『そうよ。』
「今日、KYUはうちの実家に泊まって貰うからな!
ソラが一人だけだと不安がるから。」
『そうね!
あの人には、黙っとくわ。
心配性だから。』
「そうだね。
ソラの事だったら、病気だって事を忘れて飛んで帰りそうだもんなぁ!」