CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「そんなことヨンミちゃんに言える訳無いだろ?」
『それじゃあ、どうするつもりだったんですか?』
「まぁ、そのうちどうにか‥‥‥‥‥」
『ホントに適当すぎますよ!
家族の事や仕事の事、他にも色々考えて大変なのは分かってるつもりです。
でも、ヤッパリオモニ(お袋)にはちゃんと話して、これからの治療も話し合っていきましょうよ?』
「シロヨ!(やだね!)」
『なんて我が儘な父親だよ、ホントに!
アボジ(親父)、オモニ(お袋)の事ちゃんと分かっているんですか?
オモニに、こんな重大な事黙っていたら、一番悲しむって!』
「それでも嫌だね!
ヨンミちゃんには、俺が胃癌で後1年も生きられないなんて言える訳無いだろ?」
ガラカラッ!
と、いきなり扉が開き、
『貴方?
その話し本当なの?』
「ヨンミちゃん!」
『ちゃんと答えて!』
「いや‥‥‥‥‥、その‥‥‥‥、え~ッと!
実はだね、まぁ‥‥‥‥‥‥そう言う事なんだよね。」
『手術したら助かるんでしょ?』
「五分五分って言われた。
それも半年前に!」
『ここのお医者さんは何て言ってるの?』
「かなり難しいらしいって。
胃の裏側に腫瘍が出来ているそうで、胃の半分以上はガン細胞によってダメになっているんだそうだ。
だからね、胃を全て摘出しないとダメだし、全摘しても他に転移している可能性が高いんだそうだ。
それらも全て摘出に成功しても、3年以内に再発する可能性が70%だから、結局はどうにもなんないでしょ?
その上、一生涯食事制限のある生活を強いられてまで生きたかないよ。」
『貴方って酷い人ですね。
それでも、実際に病気と戦うのは貴方ですから、痛いのも辛いのも貴方で、だから、貴方が手術するまで私は何も食べないし、手術が成功したら貴方と同じ様に私も食事制限しますわ。
貴方と同じものしか食べません。
どんなに辛くても、ヤッパリ貴方に生きてて欲しいって思うし、一生涯貴方の側に居たいと思う私ってワガママですか?』
「ヨンミちゃん‥‥‥‥‥‥‥‥!」
『オモニ(お袋)、無茶苦茶ですよ!
看病する貴女までが倒れたら、ソラが死ぬほど心配しますよ。
アボジ(親父)も!
オモニ(お袋)やソラ達、後に残された人の事も考えて下さい。
まずは、これからの治療方針を聴いて、一番最善の方法を取っていきましょう。
いいですね!?』
「あぁ、分かった!」
『それじゃあ私は、ちょっとドクターの所に話を聴いてきますからね!』
と言って、オモニ(お袋)は病室から出ていった。
バツの悪そうな顔をしたアボジ(親父)は、頭まですっぽり布団を被ってしまった。
まるでだだっ子の様である。