CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
ナイトメアとKYUのジョイントライブは、夕方6時から始まり、7時半の時点で前半が終了である。
最初の打ち合わせでは、ここで一旦バックステージに下がり、10分間の休憩タイムとなる予定であったが、なんと!
いきなりナイトメアのメンバーだけで演奏が始まったのだ。
そして、Seiji さんが声を高らかに
『Happy birthday to you !
Happy birthday to you!
Happy birthday dear Chance!
Happy birthday to you!』
するとステージ袖から、特大のバースデーケーキが乗ったワゴンを押して元XYZのメンバーが現れたのだ。
そのとたん、会場からは割れんばかりの声援と拍手で、スッゴい盛り上がりだ。
当事者の俺だけが知らなかったので、嬉しくもあるが一瞬ではあるがポカーンとしていた。
それでも、直ぐにマイクを握って皆にお礼を言って回り、最後に会場の観客に向けて、
「みんな~!
ありがと~!
まさか、XYZのメンバーが駆けつけてくれると思わなかったから驚いているけど、やっぱりファンの皆さんと一緒に過ごせる誕生日って、ホントに良いもんですね!
今日 で 23才に成りました。
これからも頑張りますので、応援宜しくお願いします。」
その後のライブは、前半以上に盛り上がりをみせ、3時間のライブは幕を閉じた。
ライブの打ち上げ会場になっている梨泰院(イテウォン)に行くと、そこには俺のアボジ(親父)と妹のソラ、婚約者のソナに桧山次長(去年主任から昇格して次長へ)、それに奥さんの杏奈さんと可愛い双子ちゃんの娘達まで駆けつけていた。
22時から始まり深夜0時半過ぎまで、ライブスタッフや衣装スタッフ、音響マンまで総勢30人以上での打ち上げは、めちゃめちゃ楽しくて、普段お酒を飲まない俺も、いつの間にかホロ酔い気分になっていた。
代行運転を頼んで、俺のマンションに戻ったら、先に帰っていたソナがお風呂の用意をしていた。
ライブでかいた汗を洗い流し、布団にもぐり込んでギュッとソナを抱き締めたまま、朝までぐっすりと眠っていた。
そして翌朝
今日もまた、忙しい1日の始まりである。