CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
今は、高度4200mから一気に4500m迄上昇した。
大気が安定しているので、離陸直後よりも振動や揺れが無い。
アボジ(親父)から聞いたんだけど、この機体は50億円以上したそうだ。
年間維持費だけでも3億円掛かるんだそうだ。
今日、こうして皆でハワイに向かっているのだが、往復のもろもろの料金のトータルは1200万円なんだって。
絶対に必要ないでしょ!
普通に、エアーチケット買って出掛ける方がファーストクラスを利用したとしても、その方が安い。
確かにプライベートジェットは快適だけれども、出来れば手離して欲しい。
さっきまで、窓の外は一面海だったのだが、離陸して7時間、チラホラ島が見えはじめてきた。
それから更に30分、ついにホノルル国際空港に到着した。
一般客とは別の通路を通り、荷物を受け取ったら直ぐに通関と入官の審査を受け出国ゲートに。
そこには、
【Welcome To: N S MUSIC Mr. Koh】
と書かれたフリップを持った45才位の男性が待っていた。
それを発見したアボジ(親父)は、
『やぁ!ご無沙汰してますリーさん!』
「いゃあ、お久し振りですなコウさん!」
『楽しみにしてましたよ。
今回は、家族と一緒に息子達の友人も一緒に来たので、宜しくお願いしますね?』
「大丈夫ですよ。
10人ですね!
部屋はいくつ要りますかは?」
『え~っと、5部屋ですけど大丈夫かな?』
「問題ないって!」
『皆、彼が今回お世話になる俺の友人のミスターLeeさん。
彼は、韓国系アメリカ人で、Robin Lee(ロビン・リー)って言う人なんだけど、本当は、李 露彬(イ・ロビン)って書くそうだ。』
「なんか、渋いですね!」
『それじゃあリーさん!行きましょうか!』
「おっと、そうでしたね。
迎えのバスを表に停めてありますので行きましょう!」
そして、表で目にしたのは、
『アッ、ロケバス!』
と思わずジョージも叫んでしまっていた。
「日野のリエッセじゃないですか?
まさか、ハワイで日本製のバスを目にするとは!
それも、最新型のリエッセⅡだし!」
日野リエッセⅡと言えば、日本国内じゃあメジャーな小型バスである。
特に、芸能人のロケバスとして、テレビでも良くロケ番組中に登場してくるくらい有名なバスなのた。
『これはな、俺からリーさんへ送ったプレゼントなんだよ。』
「そうです!
去年の私の誕生日に、ミスターコウさん(新星MUSIC社長)から頂きました。」
何と、誕生日プレゼントにバスを送るとは!
驚きながらも、リエッセの最新型をじっくり見てみた。
色は、下のフェンダーラインまでが白で、上の方はライトブルーと、まるでワイキキビーチの空と海と砂浜をイメージしたような感じに仕上がっていた。
車内にはいると、29人乗りのバスを25人乗りに改造され、冷蔵庫などが取り付けられていた。
足元にはカーペットも敷かれてお
り、ちょっぴり豪華に内装を施されていた。