CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『そうじゃったの!
耳が大きな私は、国民皆様の意見をしっかり聞いて、より良い政治を行いますって言ってたくせに、ワシの話は聞こうともしない。
急にリッチになったから、人生が大きく変わってしまい、贅沢な暮らしが止められなくなってしもうたんじゃろ。
何度も警告してやったんじゃがダメだったわい。』
「その頃ハラボジは、大統領から1回幾らの見料を取っていたんですか!?」
『毎回1000万ウォン置いて行きよったわい。』
「1000万ウォン!?
まさにボッタクリですねぇ!」
『人聞きの悪い事を言うな!
あの男の秘書が勝手に置いて行きよったんじゃよ。』
「それはそうと、未来のビジョンを見た時、ハラボジが黄色いノリゲを手にして泣いていましたよ。」
『多分それは、ワシが賢淑(ヒョンスク)に初めて買ってあげたノリゲじゃろ。
チャンスがそのノリゲの記憶を読み取って、それでワシが泣いたんじゃな。』
「そのノリゲは今、何処に有りますか?
気になって仕方がありません。」
『ワシは知りとう無いわ!
泣くくらい悲しい真実が有るって事なんじゃから。』
「……」
『それより今は、お前の力をコントロールする方が先じゃ。』
「物体移動や物体の瞬間移動、物体の記憶のREADING、それと過去と未来のビジョンが出来るようになりましたよ!」
『じゃあ、後はビジョンを使いこなせる様にトレーニングだな。
これは、下手をすると相手の意識に取り込まれて仕舞って、廃人になる可能性があるからな!』
「さっきハラボジのビジョンを観た時には、アボジのビジョンは見えなかったですけど。」
『そうか!
じゃあ、今度は賢主(ヒョンジュ=俺のアボジ)のビジョンを読み取ってみてくれ。』
「じゃあ、アボジいきますよ!?
俺に観られて、困るようなビジョンは無いですよね!?」
『当たり前だ!
俺には家族と仕事が全てだからな!』
「浮気はしてないですよね!?」
『そんな事有り得ない。』
「分かりました。
E弦開放!」
『E弦開放!? なんじゃそりゃ!?』
「ギターの弦ですよ!
頭の中でのイメージは1弦のみを開放するとコントロールがしやすいんですよ。
それで分かりにくければ、開放する弦を1本ずつ増やすんですよ。」