CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
ハワイに家族旅行中だったから、俺だけ先に一人で帰国するつもりだった。
翌朝はやく、一応アボジ(親父)には昨晩の詳細を話して、今日の午後一の便で帰国する旨を伝えた。
アボジは、
『ソナちゃんはどうするんだい?』
と、聞いてきた。
「後、残りまだ5日間も有りますから、ソラ(俺の妹)も居るし、皆と一緒の方が良いでしょう!」
『それでも、一応ソナちゃんには話して、どうするか聞いた方が良いだろう。』
「分かりました。
それでは、直ぐに帰国の準備をしてきますので。
アボジ達は、ゆっくり楽しんでいて下さい。
皆が帰国する頃には、解決しておきますので。」
『頼もしくなぅたなぁ。
なぁ、ヨンミちゃん、これだと会社はチャンスにいつでも任せて引退出来そうだな。』
「そうですわね。
貴方は、今まで忙しすぎたから、これからはチャンスに任せて、私達は旅行でもしながら楽しく過ごしましょ!」
『ちょっとオムニ(お袋)待って下さいよ!
アボジには、まだまだ頑張って貰わないといけないんですから。
俺だけじゃ、理事達も納得してくれないし、本社の重役連中は、アボジが押さえてくれているから静かにしていますけど、副理事の金哲茱氏(キムチョルス)さんの派閥も最近は段々でかくなっているから、大変なんですよ。』
「確かにな!
金一派は、従弟の奥さんの家系が入り込んでいるからなぁ。
金に物を言わせて膨れ上がりすぎたかも!
まぁ、そのうち解体するけどな。
結束力は大したこと無いから問題外よ。」
『アボジは呑気だなぁ。
乗っ取られ無い様に気をつけて下さいね!』
「無理無理!
奴等にそんな度胸無い。
せいぜい、自分サイドのタレントを多く働かせて、上のもんは楽して金儲けしたいくらいにしか頭を使ってないから、乗っ取られる心配は無いさ。
それよりチャンス!
早くしないと飛行場に間に合わなくなるぜ。」
『本当だ!
それじゃあアボジ、オムニ、ここで失礼します。
後の事、宜しく頼みます。』
「気をつけてな!」
と言う訳で、直ぐに自分のコテージに戻り、ソナに事情を話した。
彼女は心配して、一緒に帰国すると言い出し、仕方ないので二人で荷造りをして、タクシーで空港にむかった。
電話で予約しておいたので、直ぐに二人分のチケットを受け取り、出国の手続きをした。
小一時間程で搭乗開始となり、機内に入って漸く落ち着いた。
『チャンスオッパ、大丈夫よね?』
と、昨晩の出来事の火の粉が俺に飛び火するのではと心配して、俺の顔を覗き込んできた。
その顔は、ヤバいくらいに可愛くて、近づいてきたソナのおでこにチュッと口づけてみた。
驚いたソナは、誰かに見られたのではと、慌てて周りをキョロキョロと見渡している。
何か面白い!
そして8時間後、成田国際空港に到着した。
時刻は現在夜の10時少し前である。