CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
 



『大したもんだな!

そんな遣り方が出来るのか!

俺の時は、とにかく精神統一をしっかりして何日も何日もトレーニングの日々で、まともに人前に出たのは、1ヶ月くらい経ってからだったぞ。

とにかく、凄いストレスでな、精神統一どころじゃ無かったよ!』


「凄い大変そう…!」


『じゃあ始めてくれ!

一応気を付けてな!』


「分かりました。」


俺は、静かに呼吸して神経をアボジに集中させて、もう一度力を開放させた。


『どうだ!?』


「アボジのビジョンがみえますよ!

でも、ハラボジのビジョンは出てきてません。」


『じゃあ、教えてくれ!』


「過去のビジョンは、アボジが車の中にキーを閉じ込めて仕舞いました。

それで、またエレベーターに乗って社長室まで戻ってスペアキーを探しているときに、デスクの上に置いてあった家族の写真を落としました。

未来のビジョンは、電話でオモニ(お袋)と楽しそうに会話してます。

どうやら、アボジが日本に帰る日が決まって、それを報告しているみたいです。」


『そうか。そうか。

じゃあ、過去のビジョンを消して、未来のビジョンだけを映し出す事は出来るかい!?』


「やってみますけど…、どう遣れば良いのですか?」


『チャンスや、片目を瞑る感じをイメージしてみるんじゃ!』


「分かりました。

やってみますね!」


俺は、1弦開放したまま、心の中で目を瞑るイメージをしてみた。

心の中で左目を瞑ると、アボジの過去のビジョンが消えていった。


『どうだ!

出来たか!?』


「ハイ。

簡単に出来ました。」


『マジかよ!?

俺が出来るようになるのに、どんだけ掛かったか!

片方のビジョンを観るのと、両方のビジョンを観るのとでは、体の負担が全然違うからな!

それじゃあ今度は、今見えている未来のビジョンを、別のシーンに変える事が出来るかい!?』


「それは出来ます。

それじゃあ、やってみますね!」


と言って、右手を延ばし、目の前に有るビジョンをページを捲る様に動かすと、


「見えましたよ!

……。」


『どうしたんだ!?

急に黙り込んで。』


「これは、言えません。」


『どうしてだ!?』


「これは、今は言わない方が良いと思うからです。」


『何か悪い事なのかい!?』



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