CHANCE 2 (後編) =Turbulence=

3. Challenge and Try







脱法ハーブ事件から1ヶ月、色々と福田の件で警察から呼び出しや、現場検証等も有ったが、次第にいつもの日々へと戻っていった。



検挙されたのは、企業等も含めてかなりの人数であった。



逮捕された黒川潤と言う男の背後には、仙田組も関与しており、麻薬密売ルートの1つは、潰すことが出来たそうだが、こんなのは氷山の一角だそうで、まだまだ潰さなければならない麻薬密売組織が山のようにあるんだと平田刑事が嘆いていた。



家族は、ハワイから帰って来たが、アボジ(親父)は直ぐにソウルに飛び立ち、現在はソウルに在る新星グループ本社で、新たな事業展開を繰り広げていた。



それは、韓国全土から作曲家の玉子を集めて育てるプロジェクトである。



それと平行してダンス大会を開き、新たなダンスチームの育成にも乗り出したのだ。



今年度からアボジは、人材の育成に力を入れ、将来の新星グループを担っていく新たな人造りに重点を置いて動き出した。



それもこれも全ては俺が跡を継いだ時に、しっかりとした地盤を残したいからだと言う。



俺ってそんなに信用ないのかなぁ?



そんなの、俺が自分の力で切り開くってもんだよ。


なのに、あげくの果てには、ソウルと釜山に数十億ウォンを投入して演劇専門学校を開校していたのだ。



この新星演劇専門学校は、時代劇から現代劇、ドラマや舞台等を、オールマイティーで教えてくれると大人気で、結局入試や面接等を経て、一定のレベルに達していないと入校出来ないくらい狭き門と成ってしまった。



その代わり、集まってきた生徒達は、在学中でもテレビや舞台、映画等にも出演出来るチャンスが数多く転がっている学校に成ってきている。



なんと言っても、教えてくれる講師陣は現役の俳優や役者達も居るのである。



常に新しい事柄を、生徒達に学ばすことが出来る体制が出来上がっている。



しかし、そこまでもっていくまでには、かなりの批判的な意見も有ったし、他のプロダクションからの嫌がらせも続いた。



それでも、生徒達と講師陣、そして運営サポーターの俳優や役者達の日々の努力のお陰で、今では一流のタレント養成学校が出来上がったのである。



その頃、俺は単身でニューヨークに来ていた。



これから1ヶ月間、Gold Strings(ゴールドストリングス)と言う大会に参加する為である。



全世界150ヵ国以上の国々から集まってきたギタリスト達が、その頂点を目指して戦う4年に1度行われる、ギタリスト達のオリンピックである。



600人以上が参加している今大会では、前回の優勝者、イギリスからやって来たザモンスターズのギタリストのジムフェルナンドも、勿論参加してきていた。





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