CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
16名となった大会参加者
大会10日目はオフなので、通過した皆で親睦会と言う名の、探りあいを近くのファストフード店で行う事になった。
強制参加じゃ無いんだけれど、結局皆暇なんで飯食いがてらの集まりとなっていた。
「高山くん(チャンスの事)、君なかなかやるね!」
『野村さんに、誉められるなんて光栄です。』
「謙遜して~!
でも、凄く人気の有ったXYZを解散して勿体無いね!」
『そうですね。
ボーカルのKYUが、一番残念がってるでしょうけど、他のメンバーもそれぞれ家の家業を継ぐために、泣く泣く解散でした。
最初から大学在学中のみの活動って決めていたんですが、それでもやっぱりいざ解散となると辛いもんでした。』
「他のメンバーって何しているのだい?」
『ベース弾いてたテジュンの実家は、日韓での貿易を主に遣ってる会社で、今はそこの本部長やってます。
キーボードのジョージは、老舗の呉服屋の若旦那してますし、ドラムのケントは実家が洋食屋で、本人は今フランスに料理の勉強の為行ってます。
俺は、新星グループの常務とギタリストの二足のわらじ状態です。
野村さんは、Silver Wolfって今活動休止中って言ってましたが、何か有ったんですか?』
「ドラムの鍋坂昭二(なべさかしょうじ)ってのが居るんだけれど、そいつが今入院中なんだ。
彼のドラムが無いと、何か俺達のサウンドじゃないみたいに感じてさ、退院してくるまでは、俺達全員の充電期間に充てることにしたんだ。」
『入院って、一体どうしたんですか?』
「まぁ、病気で手術しないとまともに普段通りの生活が遅れないっていうから、思いきって手術してみるって覚悟を決めて入院したのが2週間前。
退院予定は、3週間後くらいだから、活動休止中って言っても40日も無いんだよ。」
『手術ですか?
何処が悪いんですか?』
「イヤ~!
それがさ~、昭二の奴‥‥‥‥プッ‥‥‥‥ブブッ‥‥‥‥ブハハハハ!
ごめんごめん!思い出し笑いしてしまったよ!
イヤ~彼にしては重大な病なんだが、病名を聞くとつい笑っちゃうんだよなぁ!」
『昭二さんの病名って何なんですか?』
「ヘモだよ!」
『‥‥‥そうですか‥‥‥。』
「ヘモだけで分かるのかい?」
『はい。
要するにイボ痔ですよね?』
「そうなんだ。」
『だったら、椅子に座ってドラムを叩く訳ですから、昭二さんにしてみたら深刻な病なんですね!』
「バスペダルやハイハットペダルを踏みながら変な動きしていたから、良く良く問い詰めたらイボ痔だと白状したんだ。
だから、直ぐに手術受けさせたって訳!」
『なるほど!
病名を言えないから、表向きは充電期間中って事にしたわけですか。
大変ですよね。』
野村さんと話が盛り上がっていたら、後ろからレベッカが声を掛けてきた。