CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
 



「それは、そのうち分かりますよ。

今は知らない方が、後で楽しみがひとしおですからね。」


『そりゃそうだが…、やっぱり気になって仕方が無いわい。』


「悪い事が起こるんじゃないですから、どうそご心配なく。」


『お前のビジョンを観れば判るのぞ!』


「どうぞ観てください。」


『……あれっ!?

チャンス、何をしたんだ!?

お前のビジョンが観えないぞ……』


「でしょう。」


と言って、ニヒヒ…と笑ってみせた。


『どういう事なんじゃ!?』


「実は、気を集中して力をコントロール出来るんだったら、逆に自分のビジョンを消す事も出来るんじゃないかと思って、頭の中のイメージで自分のビジョンを消してみました。」


『大したもんじゃのぉ!

ワシには、そんな事出来んぞ。』


「そう言えば、さっき御先祖様の中には、物体を出したり消したりって言ってましたよね!?」


『そうじゃ。』


「じゃあ、私も物体を消したり出来るかもしれませんね!?」


『しかし、消えた物が何処に行くか分からんぞ!』


「そうですね。

何処に移動させるかをイメージしてやってみますね!」


『じゃあ、このワシのハンカチを、お前のギターケースの中に移動させてみてごらん。』


俺は、ハラボジから受け取ったハンカチを手に、ギターケースの中に入って行くイメージをしてみた。


その瞬間、手の平の上に有ったハンカチがフワッと揺れたと思ったら、パッと消えた。


俺とハラボジは、クローゼットの中にあるギターケースを取り出して、中を覗いてみた。


しかし、ギターケースの中にはハンカチは無く、ハンカチは何処かに消えて仕舞った。


「無いですよね!」


『何処に行ったんじゃ!?』


「まさか、ギターの下に有ったりして?」


『無いぞ。』


「この小物入れの部分には……あれっ?

ハラボジ、有りましたけど……」


『どうしたんじゃ?』


「何か凄い事になっています。」


『ありゃりゃ~!

ワシのハンカチが、ビリビリに破れて仕舞ってるじゃないか。

権利書で試さなくて良かったわい。』


ハラボジのハンカチは、見るも無惨な状態で、紙吹雪の様に細切れで、全く原型を留めていなかった。


これは、トレーニングの必要があるな!



まさか、粉々になるとは…



< 24 / 371 >

この作品をシェア

pagetop