CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「それは、そのうち分かりますよ。
今は知らない方が、後で楽しみがひとしおですからね。」
『そりゃそうだが…、やっぱり気になって仕方が無いわい。』
「悪い事が起こるんじゃないですから、どうそご心配なく。」
『お前のビジョンを観れば判るのぞ!』
「どうぞ観てください。」
『……あれっ!?
チャンス、何をしたんだ!?
お前のビジョンが観えないぞ……』
「でしょう。」
と言って、ニヒヒ…と笑ってみせた。
『どういう事なんじゃ!?』
「実は、気を集中して力をコントロール出来るんだったら、逆に自分のビジョンを消す事も出来るんじゃないかと思って、頭の中のイメージで自分のビジョンを消してみました。」
『大したもんじゃのぉ!
ワシには、そんな事出来んぞ。』
「そう言えば、さっき御先祖様の中には、物体を出したり消したりって言ってましたよね!?」
『そうじゃ。』
「じゃあ、私も物体を消したり出来るかもしれませんね!?」
『しかし、消えた物が何処に行くか分からんぞ!』
「そうですね。
何処に移動させるかをイメージしてやってみますね!」
『じゃあ、このワシのハンカチを、お前のギターケースの中に移動させてみてごらん。』
俺は、ハラボジから受け取ったハンカチを手に、ギターケースの中に入って行くイメージをしてみた。
その瞬間、手の平の上に有ったハンカチがフワッと揺れたと思ったら、パッと消えた。
俺とハラボジは、クローゼットの中にあるギターケースを取り出して、中を覗いてみた。
しかし、ギターケースの中にはハンカチは無く、ハンカチは何処かに消えて仕舞った。
「無いですよね!」
『何処に行ったんじゃ!?』
「まさか、ギターの下に有ったりして?」
『無いぞ。』
「この小物入れの部分には……あれっ?
ハラボジ、有りましたけど……」
『どうしたんじゃ?』
「何か凄い事になっています。」
『ありゃりゃ~!
ワシのハンカチが、ビリビリに破れて仕舞ってるじゃないか。
権利書で試さなくて良かったわい。』
ハラボジのハンカチは、見るも無惨な状態で、紙吹雪の様に細切れで、全く原型を留めていなかった。
これは、トレーニングの必要があるな!
まさか、粉々になるとは…